「サウナ×鍼」――どちらも古くから体調を整えるために親しまれてきた自然療法。実はこの2つを組み合わせると、“ととのう”を超える体感が得られることをご存知でしょうか?
本記事では、実際にサウナと鍼治療を体験した筆者が、その効果について詳しくご紹介します。
施術を受けたのは、表参道で開業15年目を迎えるナチュラルキュア表参道治療院。本記事は、同院院長に監修のしていただきました。「サウナとの相性」や「施術なタイミング」など、専門家の視点からアドバイスもお届けします。

阪本 敏宣 先生
監修者
ナチュラルキュア表参道治療院 院長。鍼灸師・柔道整復師・JCDCカイロプラクティックドクター。鍼灸・気功・オステオパシー・カイロなどを統合し、自然治癒力を引き出す施術を実践。独自の技術で、女性の不調や慢性症状にも対応し、体のゆがみや神経バランスに着目した調整法は多くの信頼を集めている。治療は外から、治癒は内から起こるという理念のもと、日々研鑽を重ねている。
サウナと鍼治療、それぞれの力と共通点
サウナの作用:心身を一気に「開く」
サウナに入ると体温が1〜2℃上昇し、血管が拡張します。その結果、全身の血流が促進され、自律神経が交感神経優位から副交感神経優位へと切り替わっていきます。
つまり、これが“ととのう”と感じる正体です。汗とともに老廃物も排出され、深いリラックス状態へと導かれます。

鍼の作用:体の深部に「調整」を入れる
一方で鍼(治療)は一般的に「鍼灸」として知られている通り、温熱治療と鍼治療の組み合わせは東洋医学では古くから実証されています。サウナ×鍼はその知見を現代的に応用したものです。
鍼治療は、経絡やツボを刺激して、筋肉や内臓、神経に働きかけます。筋肉を傷つけることで、自然治癒力が高まり、身体の機能が正常に戻ろうとする反応が引き出されます。
そのため、冷え・頭痛・不眠・PMSといった「不調」への対処に効果的です。

共通点:内側から整える自然療法
サウナと鍼は、どちらも身体の内側から自然治癒力を引き出すことを目的としたアプローチです。血流を促し、自律神経を整えるという共通の作用によって、心身が本来のバランスを取り戻していく――それが、この2つに共通する“ととのう”力なのです。
“ととのう”を深める「サウナ×鍼」の相性
自然治癒力が「倍増」
鍼治療にとって、身体が温まっている状態は理想的です。血流の巡りが良くなり筋肉も緩むことで、ツボへの刺激が届きやすく、反応がスムーズになります。この状態で鍼灸を行うと、施術の効果が一段と引き出されやすくなります。

相互強化の作用で、自律神経が“本質的に整う”
サウナで交感神経を刺激し、水風呂や休憩で副交感神経へとスムーズに移行すると、身体が自然に「回復モード」に入ります。鍼でその副交感神経優位な状態を安定させる。これにより、“ととのった状態”が長く持続します。
つまり、組み合わせることで整いの効果が倍増・安定しやすくなるのです。
どのような悩みに効果的?
以下のような悩みを抱える方におすすめです:
冷え性・むくみ
サウナで全身の血流が促され、鍼によって末端の巡りが良くなります。特に足先の冷えや脚のむくみに悩む方には、排出の循環が整い、翌朝の軽さを感じられることもあります。
PMS・生理痛
骨盤まわりの血流を促し、ホルモンバランスを整える鍼は、PMSや生理痛の軽減にも効果的。サウナ後に鍼治療を行うと副交感神経が安定し、月経前後の心身の揺らぎを穏やかに整えます。
不眠・自律神経の乱れ
交感神経優位の状態から、副交感神経を促すサウナと鍼の連携は、睡眠の質を高める助けになります。寝つきの悪さや中途覚醒に悩む方にもおすすめです。
慢性的な肩こり・腰痛
サウナで筋肉がゆるんだ状態で鍼治療を行うと、こり固まった部位に鍼の刺激が深く届きやすく、可動域改善や根本ケアが期待できます。
精神的な疲れ・不安感
緊張が続き心が休まらない方にも効果的。サウナと鍼の両方が副交感神経を優位に導き、心に“余白”を取り戻すサポートをします。
このように、単体でも効果的なサウナと鍼を組み合わせることで、複合的な不調に対して総合的なケアが可能となります。
鍼の専門家が語る:サウナとの相性・タイミング
筆者の体験談:阪本先生の整える施術
筆者も実際に、サウナで体を温めた後、阪本先生の施術を体験しました。

阪本先生の治療院では、鍼だけでなく、整体・マッサージ・カイロプラクティックなどを融合させた独自のメソッドでアプローチします。まずは、腰痛の原因になっていた仙骨の歪みを丁寧に整えてもらいました。さらに鍼を打ってもらうと、自然と姿勢が正され、気づけば腰の痛みがすっと消えていました。

PC作業で前に巻き込まれていた肩も、施術によって本来の位置に戻り、首や肩のこりが驚くほど軽くなりました。特に驚いたのは、脛に感じていた強い滞り。指で押すと痛みを感じていた部分が、鍼を一本打っただけでスッと流れが通り、痛みが不思議となくなりました。
また、下がっていた腸の位置を戻し、お腹をスッキリさせたり、左右アンバランスだった顔や、頭蓋骨の微細な歪みも整えてもらいました。

頭蓋骨はひとつの骨ではなく、いくつもの骨が組み合わさってできており、わずかですが常に動いているそうです。その動きが、日々のストレスや姿勢の癖によって歪むと、頭痛や不眠、顔の左右差などにつながることもあると伺いました。
施術によって顔まわりの緊張がほぐれ、視界がスッと開けたような感覚に。
最後に鏡を見たとき、フェイスラインが引き上がり、顔色もワントーン明るくなっていて、内側から整った実感がありました。


「こんなに体が歪んでいたのか」という発見と、「整っていく実感」を味わえる魔法のような施術でした。
鍼灸師・阪本先生が語る「サウナと鍼灸の相性」
阪本先生によると、サウナで身体を十分に温めたあとに鍼灸を受ける「温めてから緩める」という流れは非常に理にかなっているといいます。

サウナによって筋肉が緩み、血流が促進された状態では、ツボや経絡への刺激がより届きやすくなります。このとき女性は特に、オキシトシンやセロトニンといった「癒しのホルモン」が分泌され、深い安心感に包まれる効果もあります。
また、副交感神経が優位になった状態で鍼を受けることで、リラックス効果や自律神経の安定がより深まるそうです。



サウナの後に鍼灸を受けると、治療の入りが全然違う。サウナが“土台を整える”役割を果たし、鍼灸が“仕上げ”になるような感覚です。
具体的な効果として、睡眠の質の向上、冷えやむくみの改善、肌の透明感アップ、ホルモンバランスの調整、ストレスや不安感の軽減など、多くの女性が抱えやすい日常の不調を、穏やかに整える手助けとなります。
また、呼吸が深まり、頭がスッキリと軽くなることで、「ただ気持ちいい」だけではない、内側から整う感覚は、サウナに鍼治療をプラスすることでより一層実感できると思います。
サウナや鍼灸に慣れている人であれば、あえて鍼灸を“先に受けてから”サウナに入るという方法も非常に効果的だといいます。ただし、体質や体調によって血流が大きく促進された状態でサウナに入ると、循環しすぎてしまい危険な場合もあるため、これは体調管理や経験値がある人に限られるとのことです。治療後にサウナに入る予定のある方は、施術者に伝えておくと良いでしょう。
サウナ前後に鍼を受けるときの注意点
サウナと鍼はとても相性の良い組み合わせですが、体への負担を避けるためには、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。初めて受ける方は、以下のポイントに気をつけて、無理のないペースで取り入れてみてください。
- 初めての方は、サウナの後に施術を受けましょう
- サウナ後は、しっかりと水分補給をしましょう
- 鍼の直後にサウナへ入る場合は、少し休んでから入りましょう(血流が良くなりすぎて、のぼせや立ちくらみの原因になることがあります)
- サウナ後は体が冷えやすいため、汗をしっかり拭き取り、髪を乾かしてから施術を受けましょう
- 空腹・満腹時や、体調がすぐれないときは施術を避けましょう
「サウナ×鍼」新しい掛け合わせ
サウナと鍼、それぞれの良さを掛け合わせたら、”ととのう”がもっと心地よく、もっと深くなりました。頑張りすぎた日や、少し不調を感じた日にこそ、じっくり自分と向き合う時間を。
不調を感じている方はもちろん、そうでない方にも一度は体験してほしい、ナチュラルキュア表参道の施術。多くの方が、自分でも気づかなかった体の歪みや滞りに驚くでしょう。
その違和感がみるみる整っていく過程は爽快で、忙しい毎日を送る女性にとって、効率良く治療できてお勧めです。
なお、SaunaTherapyでは、オーダーメイド鍼治療プランを新たにスタートいたします。
サウナで身体を温めた後に、鍼・整体・マッサージを組み合わせた施術を行うことで、肩こり・自律神経の乱れ・女性特有の不調などにやさしくアプローチします。